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舌を噛んで死ぬ。
昔の時代劇なんかによく舌を噛んで死ぬシーンってあった。

これは暴漢に女の人が襲われそうになった時に、自分の貞操を守る為に自決するのだ。
しかし縄などで縛られているために舌を噛んで死んでしまうのだ。
暴漢「おじょうさんよう。もう逃げ場はねえぜ。ぐっふっふ」
女「止めなさい。それ以上近寄らないで」
暴漢「俺に理屈が通用するとでも思ってやがるのか?ふえっふえっふえ」
女「ぐふっ」
暴漢「あっ。舌を噛みやがったこのアマ・・」
みたいなシーンである。

白土三平の忍者物なんかにも良く出てくる。
相手の忍者を捕獲するのだがすぐに「ぐふっ!」って言って舌を噛んで死ぬ。
忍者の場合奥歯に毒を仕込んであってなんかそれを噛むと毒が回る仕組みになっているのだ。
大体つかまるとすぐに「ぐふっ!」である。

そんあこんなで俺の子供の頃はやたら「舌を噛んで死ぬ」シーンがあって、もう多い時にはテレビで一日3回くらいやっていたのだ。
いや。間違いない。やっていた。

しかし俺はどうもこの舌を噛んで死ぬと言う事に納得がいっていなかった。
果たして人間は舌を噛んで死ぬ事が出来るのだろうか。
子供の俺はどの程度強く噛めば舌がちょん切れてしまうのか不安でよく初めはそーっと段々強く舌を噛んでいたのだ。
痛いことは痛いが死ぬほどの事ではない。

誰かに聞いたのは「舌を噛み切ると舌の根元が、奥に巻き上がり喉に詰まって窒息死するのだ」というまことしやかな説である。
そんな意見を聞いた事がある人はいないだろうか?
これならなんとなく判る。
舌を噛み切らなければ試す事は出来ないのである。
さすがに死ぬかどうかを試すために舌を噛み切るほど馬鹿ではないので、その実験はそこで終了した。

それから30年以上「舌を噛み切ると舌の根元が奥に巻き上がり喉に詰まって死ぬ」と信じ続けてきた。
しかし本当に人は舌を噛み切ったら死ぬのであろうか?
舌切り雀は生きていたぞ。雀に舌があるかは知らんが。

年間3万人くらいが自殺をしているそうだが、その中で「舌を噛み切って」と言う原因はほとんど見当たらないのではないのだろうか?

ニュースで見た?
「板橋区の○○花子さんが今朝、死体で発見されました。死因は舌を噛み切った事による窒息死とみられ・・云々」なんてニュース見たことないよな。

前にイスラム圏の処刑シーンで舌を切るシーンがあったのを見た事がある。
多分、詐欺や偽証などの罪だと思うが、男が10人くらい並んでいて順番を待っていて、口をあけられたと思ったら、鉤棒のような物で舌を引っ張り出したら鋏でちょんぎってしまったのだ。
なんと恐ろしい処刑かと思ったが、あの舌を切られた男達は痛さにかけ回っていたが、やがて死ぬのであろうか?

うーむ。
真実は闇と口の中である。


- | 09:42 | comments(8) | -| - |